人生に変化と創造をもたらす呼吸の秘密 第4話

- シンプルすぎる呼吸で人生がガラリと好転する理由 -

ある例を紹介します。

何年もの間、離婚による娘との別れに、深い悲しみを抱き続けていた男性の話です。

娘が成人しひとり立ちした後でさえ、彼は毎朝胸に重くのしかかる感情と共に目を覚ましていました。彼は新しく人生を前向きに始めたい、心から笑えるようになりたいと強く願っていましたが、身体はまだ過去のストーリーに縛られていました。

 

あるリトリートに参加した彼は、自分の呼吸が浅くて胸に留まっていることに気づきました。それは自分の心を悲しみから守る防御反応でした。どれだけ新しい思考を取り入れても、強く願っても、身体は過去に縛られ神経系はまだ生存モードのままだったのです。呼吸法の練修を通じて彼は胸を開き、横隔膜を緩め、お腹深く丹田に呼吸を通すことを学びました。そして呼吸を変えたことで心が変わり始めたのです。それが新しい人生の始まりでした。身体が過去を手放し始め、全く新しい現実が始まりました。

 

この例が示しているのは、身体が記憶の中の感情を保持しているということです。それを変えない限り、身体は古いパターンへと自分を引き戻し続けます。

だからこそ呼吸はとても重要なのです。呼吸はこのパターンを断ち切る聖なる剣なのです。もし身体がまだ恐れや不安を抱くような呼吸をしていたら、筋肉が警戒状態でこわばっていたら、いくら新しい思考を取り入れもそれが根を張る余地はありません。だからこそ変化は難しいのです。ただ新しい思考をするだけでは足りないのです。新しい身体感覚が必要なのです。新しい呼吸が必要なのです。

 

心の状態を変えたい時、人生に変化を起こしたい時、外の何かが変わるのを待つ必要はありません。私たちは身体を使って、脳にもうすでに変化が起きているとサインを送ることができます。もう以前の自分ではない、もう戦う必要も逃げる必要もない、ただ古い記憶、古い体験、古いエネルギーを手放せばいい。誰もが、記憶による反応を繰り返す人間から、意識的な創造者へと変わることができます。そしてその全ては、内側から始まります。静かに呼吸とともに始まります。

 

呼吸をゆっくりにすれば、思考もゆっくりになる。胸を広げれば意識も広がる。それが全てを変えるのです。

深い呼吸は副交感神経系、つまり落ち着き・バランス・癒しのシステムを活性化させます。これは単にリラックスするだけのものではありません。内的な生まれ変わりです。進化的な変容です。なぜならその状態に入ることで、身体は「生存のための防御モード」から、「再生のための創造モード」へと移行するからです。細胞が活性化し、ホルモンが変化し、心が開かれる。この状態こそが変容が起きる状態なのです。不安や恐れの中ではありません。緊張や興奮の中でもありません。静けさの中です。

 

慢性的なストレス状態にある人々は、肺の上部でしか呼吸していません。身体は生存のための防御モードの中に閉じ込められています。そしてそれは睡眠、免疫、集中力、食事、行動、思考、健康・・・あらゆるものに影響します。

しかし深く長く呼吸をすると、体がもう戦わなくていいと理解するのです。そして身体が緩むと、心が澄んできます。その瞬間こそが、より高次の精神状態へとアクセスできるのです。新しい可能性が生まれる創造モードです。

 

多くの人が瞑想やアファメーション、ビジュアライゼーションを試みますが、エネルギーを保てないのは身体がまだ緊張しているからです。呼吸がまだ恐れや不安に縛られているからです。だからこそ自分の波動を変える時には、まず呼吸を変える必要があるのです。

 

 

続く